「食養⑧梅干と塩」

2013年07月12日

「食養⑧梅干と塩」

先週末、梅漬けの樽を開いて見ました。後に漬けた10キロの方もきれいに澄んだ梅酢が上がっていて、これも味(梅酢)は今まで以上に旨みが感じられました。ただ、両方とも灰分のようなものが少し浮いていたのでレンゲで掬い取り、中ブタを上げてみたら裏側にも付着していたので水で洗い流してクッキングタオルで水分を拭き取って戻しました。ついでに重石(1タルに2個上げていた)を1個ずつはずして終了したのですが、この灰分のようなものは何だろう?初めての経験なので気になります。

今年初めて使った塩以外に原因は考えられません。それで改めて袋(1キロ詰め)に記されている文言を読み直しました。表は、いかにも昔ながらという感じの塩作り作業をしている人たちの絵。その上に天日濃縮塩「ジャワ海の塩」という品名だけ。裏には、お決まりの成分表示のほかにも色々書いてあって、これが私の空想を掻き立てました。ちょっと長くなりますが抜粋します。

まず、大きめのポイントで「ジャワ海の塩(マドゥラ島)」、続いて―清澄な海域の海水を赤道直下の太陽と乾燥した海風で手間隙かけて濃縮し天日塩を作り上げました―。その下に、あらゆる料理に!とあって、―天日塩は、浸透性が良く、塩かどのないまろやかな味わいがあり、素材の旨みを十分引き出します。通常より少なめの量でお試しください。次いで●お漬物に―(―は以下省略)、●炒め物、煮物、揚げ物、焼き物に―●おにぎり、てんぷら、ゆで卵などに―●トマト・きゅうり・キャベツなど生野菜に―とそれぞれについての説明。さらに★本品は天日塩の為、夾雑物が若干含まれることがあります。必要に応じ除去してご使用ください。★本品は潮解性が高い為、梅雨時など湿度が高い季節には、密封容器に移し替えてご使用くださいという注意書。

そうか、夾雑物(注:きょうざつぶつ。混じっている余計なものの意)か…。といっても分かったことにはなりませんが、自力で分析するとなると大変なので“取り除いたから、まあいいか”ということにして、次の注意書。これには納得しました。私たちが子どもの頃から知っていた塩なんです。台所に置いてある塩は空気中の水分を吸って、サラサラではなく固まっていました。

次なる興味はマドゥラ島ってどこ?です。原産国名にインドネシアとあるので、地図を検索。真っ先に思い浮かんだジャワ島(首都ジャカルタがある)を拡大して周辺の島を探したら、ありました!東端に隣接していて、数年前にジャワ島と橋がかかったようです。インドネシアは赤道を挟んでいくつもの島からなる共和国ですが、もうここは緯度的に南半球。そういえば、「戦場のメリークリスマス」という強烈な映画があったなあ。撮影は別の島だったようですが、舞台はジャワ島でした。

そして、あれっ?と思い出したのが弟が話していたこと。3週ほど前に所用で北海道へ行った時に会ったのですが、仲間うちでお金を貯めて年に1回、海外へ旅行するのを趣味にしていると言うんですね。それもハワイとかオーストラリアとかは年取ってからでも行けるから今はポピュラーでないところを選んでいるんだと。あちこち行っているようですが、そこで偶然、話に出てきたところのがジャワ海の近くでした。島へ行って泳いだけど、海は透き通っていて温いから何時間も上がってこなかったやつがいたと懐かしそうでした。そうか、そんなにきれいな海だったか…。そんなこともあって“今年の塩”の信頼感が増しました。

話を戻しますが、「栄養成分表示」(100gあたり)には、当然のごとくエネルギーは0カロリーで、ナトリウム38g、マグネシウム380mg、カリウム130mg、カルシウム120mgとあります。海水には多くの元素が含まれているはずですから、細かく分析すれば鉄分とか亜鉛など他のミネラルも出てくるでしょう。表に書ききれないので省略していると思われます。(別記に塩化ナトリウム96.6g、硫酸イオン1.11g)。オーストラリア、メキシコからも天日塩が輸入されていますが、ほとんどが化学原料と化しているようです。

ところで、羊水の成分と海水の成分はほとんど同じという説があります。「羊水」は卵子と精子が結合して受精卵ができ、赤ちゃんに育っていくお腹の中の“水”のことですが、育つための栄養分はへその緒で補給され、羊水の中で細胞膜の浸透圧を利用して新陳代謝を行なうということです。構成成分(元素)を存在量の順に列挙すると【羊水】はH O Na Cl C K Ca Mg …【海水】はH O Na Cl Mg S K Ca…だそうです。これが本当なら、たしかによく似ていますね。

このところ、テレビをつけると熱中症がニュースになっています。それも、救急車で運ばれる方の人数がはんぱじゃありません。異常ですよ。何年か前、やはり気温の高い夏があって熱中症が続発しました。というより、それが普通になってきた感じがします。そして、決まって「水分を摂りましょう」というのが合言葉です。ある時、食養懇話会で秋山先生が「あれは(熱中症)塩分が不足しているからです」と話していたのを思い出します。まったく同感でした。水分はもちろん必要ですが、排尿や発汗で体温を調整すのに塩分は不可欠です。汗が乾くとザラザラしたもの(塩)が残って、なめるとしょっぱいですよね。

そんな大事な塩ですが、1959年(昭和34年)の塩業整備臨時措置法、さらに1971年(昭和46年)の塩業近代化臨時措置法の施行でついにミネラルを含まない純度の高いNaCl(塩化ナトリウム)に変わり、塩田による天日塩がほとんど姿を消すという歴史があったわけです。昔の塩が復活したのは1997年(平成9年)、塩専売制度が廃止されて塩事業法が施行になったからです。

出会うのが遅くなったのは残念ですが、ミネラルバランスがとれた海水からの本当の天日塩があるとなれば「食養」を学ぶ一人として使わない手はありません。これまでも塩には気を遣ってきたつもりですが、知らないだけで他にも良いのがあるんでしょうね。ちなみに、私は汗は出ますが皆さんが騒ぐほど厳しい暑さとは感じません。家内も同様のようです。揃って嫌いなので我が家にはエアコンはありません。地震でもあって停電したら、今大騒ぎしている方、どうなるんでしょうか。ただし、日射病にだけは気をつけています。

榎本正男プロフィール

この記事へのコメント

コメントを書く

(※皆様からお寄せいただいたコメントは管理人の方で精査させていただいた上で 掲載いたします。全てのコメントが掲載されるとは限りませんのでご了承ください。)

コメントを残す

コメント