「食養講座⑤梅干」

2013年06月13日

「食養講座⑤梅干」

前回は梅干作りの前段、「梅漬け」の私なりの作業を記しました。残る「干す」作業まではかなり間(ま)があります(1カ月から1カ月半ぐらい)。この間にやる作業と言えば、重石(おもし)を少し軽くするぐらいです。私は、中フタに2個乗せた重石のうち1個を取り外します。それもいい加減で、梅酢が上がって10日ぐらい経ったころでしょうか、要は気の向いた時です。そのままにしておいても失敗はないのですが、少しふっくらとした梅干に仕上げたい気持ちからです。

私は経験ないですが、もし、梅漬けの作業のあと2~3日たっても梅酢が上がっていない時は重石の重量が足りない可能性が大きいので、すぐ追加してください。前回書きましたが、まず梅酢が上がることが肝腎なのです。梅酢そのものにカビは繁殖しません(水を入れたり、塩分が少な過ぎないかぎり)。よく梅漬けの段階で焼酎(エチルアルコール)を入れるとか、梅をくぐらす、あるいは拭くとかする方もいるようですが、私がこだわるのは原料の良い梅と塩だけで、アルコールはせいぜい容器の消毒ぐらいにしか使いません。

それで「梅」の話ですが、いろんな種類があるようですね。200品種を超えるとか。今、一番人気は南高梅(なんこううめ)でしょうか。確かに果実は大きいし、肉厚で見映えもします。ただ、私たちのメンバーの1人が「あれは杏(アンズ)との掛け合わせ」だと言います。真偽のほどは分かりませんが、薬(主に梅酢?)として使われていた頃には無かったと思われます。和歌山県の上南部村(現・みなべ町)で発見されて名付けられたのが明治時代ですから。薬効の方はどうでしょう?

梅は約1500年も昔、大和朝廷時代に中国から移入されたようで、たぶん、遣隋使などによってもたされたのではないかと推察されています。奈良時代に編纂された最古の歌集「万葉集」には122首もの梅の花を詠んだ歌が採録されているからです。国花となっている桜を詠んだ歌は40首…。推察に無理は感じられません。それよりさらに1500年も昔に作られた中医学(注・いわゆる漢方。もちろん中国には「漢方」とか「漢方薬」いう言葉はありません)の書に、梅の薬効が記されているそうです。薬効については稿を改めます。

話がそれましたが、別に南高梅が嫌いなわけではありません。見た目にも立派で、人にあげても喜ばれます。やはり食養懇話会の仲間だった1人がいて、二人で取り寄せた3年前に作った南高梅のデキが良かったので、今年はまたそこから取り寄せようということになって、10キロ頼みました。自分でも食べますが、これは主として人にあげる方に回すつもりです。「梅干作りの名人ですね」と食べた方に褒められると、たとえお世辞でも「今年の梅だよ」とついあげたくなってしまうのです。そういう方が何人かいるわけです。で、自分用にと伊豆・ふるさと村(自然食養学会)へも10キロ、手配方をお願いしました。これは小ぶりですが表皮がやわらかく、毎日食べるには大き過ぎない利便性もあります。もちろん、無農薬栽培のものです。

蛇足ですが梅は食べない方が良いです。とくに青梅は猛烈に酸っぱくてまずいだけでなく、腹痛をおこしたり、思わぬ重病を引き起こす可能性もあります。秋山先生が少年の頃、ガキ大将の指示でいくつ食べられるか競って(ガマン比べ?)真正疫痢にかかり、死ぬほどの思いをしたと述懐していました。私も子どもの頃、「うめ」ではありませんが野生の木の実を青いうちに食べて腹痛をおこした経験があります。青い段階では毒性のある青酸物があるようです。不思議なことに熟すとそれが無くなり、甘くなります。熟した梅は香りが良いですし、うまそうにも見えます。でも味は…かじってみる程度にしておいたほうが無難です。

梅干作りですが、まだまだ間に合います。梅漬け用の熟した梅は、関東近辺なら今月下旬から7月初めごろまで手に入ります。初めての方、トライしてみましょう。なお、「まだ間に合います」は、法大で行なわれていた食養懇話会の6月例会で、秋山龍三さん(講師)がおっしゃる常套句でした。

参考資料:伊豆・ふるさと村機関紙「楽我記」128号

榎本正男プロフィール

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