「リアルな話」

2013年06月13日

「リアルな話」

学生の頃、寿司屋でアルバイトをしたことがありました。軽ワゴン車での出前と寿司桶洗いが主な仕事でした。

その頃はまだ100円寿司などはなくて、テーブル席やお座敷で、スーツ姿の男性が商談をしたり、余所行き姿の男女がしっぽりと会食をしたりと、学生の身には理解出来ない世界が果てしなく広がっておりました。

一方、洗い場には酢飯の臭いが常に漂っていて、それがまた食欲をそそるのですが、食事はいわゆる「まかない」で、寿司を食べさせてもらうことはありませんでした。あの時ほど、「身分の違い」というものを感じたことはありません。

洗い場では、ほとんどの寿司桶が、ほぼ空の態で下げられて来て、それを洗うのが仕事で、まれに、1つか2つ、寿司が残っていることがありました。

ところがある時、寿司桶に全く手が付けられていないことがありました。それがいきなり、どぉんと洗い場に来たら、どうします?

追いかけて行って、「一体、こんな美味しいお寿司をどうしてお食べにならないのですか?」と聞いてみるなどということはなくて、私の頭の中は、まず、どれを食べるか?で一杯になったのでした。そして、イクラ軍艦を口に入れた瞬間のことです。悪いことは出来ないもので、「君、アルバイトはどう?」などと、こんな大事な時に聞かなくても良いことを大将が聞いてくるではありませんか!今思うと、あまりにもタイミングが良すぎるので、大将もわざと聞いてきたのかもしれません。

こちらは、まだ生真面目な学生ですから、「はい。はふはふ」などと必死に答えたものでした。人生で、あの時ほど苦しい思いをしたことはありません。

そんな話を先日、若い衆にしたところ、「今、それは出来ません。回転寿司の厨房には監視カメラがあって、つまみ喰い出来ないようになっているんです。見つかった奴がいます」とのことでした。「なるほど。回転レーンの向こう側はそうなっているんだ」と思っていたところ、「でも、良い方法があります…。」って言ってました。もちろん、当コラムではお伝え出来ません(笑)。

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